壁紙は、住環境の快適性に影響する・・?
垂直材である壁紙は、住空間において目にする大きい要素であり、壁紙の柄や素材によって人に与える影響が異なることが実空間による検証で表れています。
品質が向上し機能も満たされつつある今日、ふわっとする さらっとする 温かみを感じるなど ”センソリー” という感覚的な欲求の充足が、これからの生活者が求めるセンソリー・ニーズ(感覚的欲求)として大切になってゆきます。

日本色彩学会 第46回全国大会発表論文:
居室の壁紙が及ぼす快適化機能の導入と評価 : X軸,Y軸の体系提案
Introduction and evaluation of comfort function brought by accent wall decor for living space 2015-09-26 より

今回の調査は、壁紙などインテリア材がもたらす、心象変化による居住性向上の研究をもとに実施されました。

この継続的研究は、2015年に「居室の壁紙が及ぼす快適化機能の導入と評価」として発表されています。

色調や図柄を調整して類似性を確保すること。技術処理により材料の素性を整えること。これらの工夫が、感性に訴えて嗜好され、快適性の向上につながる評価となりました。

2016年に行った今回の調査でも、手を加えデザインを向上させている壁紙は、感覚の欲求に呼応し、心地よいとの評価を得ています。

また、楽しい、面白いなどの別の要素を誘因する壁紙も感性を刺激し、好ましく受け取られています。

2016年10月26・27日の2日間。東京ビックサイトで開催されたJAPANTEX2016の日本壁装協会特別展示会場で、これらの柄や素材の違う6種類の壁紙を展示し、暖かさや柔らかさ、落ち着きや心地よさなどの感覚的心象の違いを調査しました。

  • 1.蝶

  • 2.ヒョウ

  • 3.水泡

  • 4.塗装

  • 5.ワニ

  • 6.植物(紙布)柄

【調査方法】

調査対象の壁紙6種類を、2016年10月26・27日の2日間男女30名の方に1.5m離れた足印の位置(壁紙を正面)からご覧いただき、以下のアンケート内容にご回答いただきました。

> 大きな画像で見る

1. 結晶(蝶)

パルプロックにレインボーのグリッターで蝶柄を表した壁紙です。
透湿性ある漆喰調の下地に、微細な淡いピンクのホログラム粒で、大小さまざまな蝶が舞うデザインです。

2. ヒョウ

ヒョウ柄の壁紙です。
ヒョウの模様をプリントし、毛並みをエンボスした壁紙です。ワイルドな柄にディテールを加え、表現されています。

3. 結晶(水泡)

インパクト大の写実デザインの壁紙です。
水滴が煌めきながら降り注ぐ、どこかミスリアスな印象のデザインです。

4. 植物(塗装柄)

ライトなビンテージ調の、木目壁紙です。
木材にペンキ塗装をし、手作り感を出したライトなビンテージ木目柄の壁紙です。
木目のユーズド感が良い意味で味わい・装飾となって温かさを醸し出します。

5. 動物(ワニ)

ワニの柄の壁紙です。
ワニ柄をモチーフにしていますが、四角いグリットにして細分したデザインにし、メタリックな質感を加えて表現しています。洗練されたモダンな壁紙です。

6. 植物(紙布)+葉柄

プリントを施したエキゾチックな紙布壁紙です。
紙の持つ優しくナチュラルな風合いに、南国を想わせるリーフのモチーフがリゾートな気分にしてくれます。

<今回の調査について>

今回の壁紙の官能調査では、手が込んでいて、細かさや暖かみが感じられる壁紙が、心地よいと感じられました。
柄がランダムな印象を持たれ整然としていなくても、細かさを感じると、荒々しさが軽減されて心地よいと感じる傾向となりました。また、細かさや手が込んでいると感じても、落ち着きが感じられず荒々しいと感じると、心地よいとは感じられない結果になりました。

シンプルに写真を壁紙にしただけのものは、色みにもよりますが、細かくて自然のモチーフからとったものでも硬い印象を持たれ、心地よさを感じるには至っていませんでした。

壁紙は、期間をかけてデザインされているものが沢山あります。人の手をかけて、部屋に使用することを思い作られている壁紙は、住む人に心地よさをもたらしている結果となりました。

【専門家プロフィール】

網村 眞弓 
あみむら まゆみ


・Color Design Firm 代表
・日本色彩学会正会員

・国際インテリアデザイナー協会 プロ会員
・日本インテリアコーディネーター協会会員
・インテリアデザイナー
・福祉住環境コーディネーター2級
・カラーデザイン&コンサルティング

・日本IBM研究所 ・グレイワールドワイド メディアプラン ・スワロフスキー CR PR マネージャー といった企業でブランディング業務を遂行。
イタリアの巨匠アレッサンドロ・メンディーニ展、日本デザインセンター現最高顧問・永井一正展、スワロフスキー創立100周年イベント、デザイナー招聘イベントを企画運用する。

色彩、デザイン、ファッション、インテリアに関連する国内外の様々な資格を取得。
カラースペースワム色彩事業部長として、街づくりや多義の色彩計画・デザインを手掛ける。
日本初の小規模多機能高齢者住宅色彩計画、医療モール、医院・高齢者施設色彩計画、企業のIR資料アート監修、高齢者施設における厚生省助成事業色彩効果検証を行い、成果を色彩学会で発表。
トレンドを経年視察し、市場分析およびアジアでの導入やグローバル戦略セミナー、コンサルティング等を行い、現在に至る。