vol.17
“ストーリーのある”ショールーム、tomita TOKYOでワクワクに出会う

東京メトロ銀座線京橋駅に直結、東京駅からも徒歩5分という好立地に、2016年、東京の新たなランドマークとしてオープンした京橋エドグラン。その一角で高級感あふれる佇まいを見せているのが、トミタのショールーム「tomita TOKYO」です。11月で1周年を迎えたtomita TOKYOを訪ねてみました。

インテリアアイテムで飾られた大小さまざまなグリッドシェルフ、天井には本銀箔の壁紙とダウンライト、壁にはこうぞ和紙の壁紙――。tomita TOKYOの入り口を入るとすぐ、高さ8mの吹き抜けに唸らされます。空間全体が、シックで、モダンで、アーティスティックです!
トミタが襖紙や金襴緞子(きんらんどんす※)の問屋として創業したのは、大正12(1923)年。間もなく創業100年を数えようかという歴史を持ちながら、tomita TOKYOはいわゆる“老舗”のイメージとはかけ離れ、まるで銀座や表参道に並ぶ高級ブティックのようです。しかも、京橋はトミタ創業の地。「戻ってくることに対して思い入れも強かったのでは?」との問いに、「“トミタといえば京橋”が付いて回るものだったので、他の土地へ行くことは全く考えていなかったですね」と、取締役副社長の富田州正(とみたくにまさ)さんが答えてくれました。
「京橋エドグランの開発にしても、トミタの会長である富田正一が15年かけて地権者をまとめ、組合を作り、プロジェクトに深く関わってきました。ここ、京橋2丁目には長くて太い地元のつながりがあったことが大きかったですね。みんな頑固で、でも仲が良くて(笑)、地域の人と人の絆があったからこそ、再開発も実現できたのだと思います」
※掛け軸などの表装に使用する高級織物
富田さんが話すように、京橋エドグランは地権者とデベロッパーが共に創る「共創型」という珍しいタイプの再開発。地元の人々が持つ街への想いや、この地で紡いできたストーリーがエドグランに受け継がれているのです。その京橋エドグランのコンセプトが「歴史と未来の交差点」。まさに、tomita TOKYOのことを言い表しているように思えてなりません。

「tomita TOKYOに置いてあるものにも、すべてストーリーがあるんですよ」と富田さんが教えてくれました。
「例えば、トミタオリジナルの和紙壁紙に使われている『こうぞ』。紙の原料であるパルプは何十年も育った木を使うけれど、和紙の原料となるこうぞは数年で大きくなりますし、出来上がった和紙は洋紙より強度があります。伝統素材であるこうぞのほうが、持続可能な循環型社会が叫ばれる現代に即しているんですよね」

こうぞを使った「Art Wall KOZO」(写真左)はハンドメイドの手すき和紙のため、1枚1枚、違った表情を見せます。また、和紙なので丈夫で長持ちし、歳月を重ねるほどに味わいが増すそうです。同じく伝統素材の一つである桐を使った「麻の葉」(写真右)は、桐を薄くスライスして型抜きし、パーツを1枚1枚張り合わせて模様を描いていると言います。
「tomita TOKYOでは、壁紙でもファブリックスでも、こだわり抜いた商品を販売していますので、市場の中でも価格が高いものになります。けれど、その値段には理由があるのです。実物を見ていただき、商品の裏にあるストーリーをお伝えすることで、お客さまがご納得したうえで選んでいただきたい。そのために、ショールームを作りました」

そのショールーム自体も、印象的な吹き抜けをはじめ、こだわり抜いて作られています。1階は、世界中から選りすぐった壁紙やファブリックスの見本を手に取って感じるフロア。2階は、伝統的な職人技術を駆使したイタリアの最高級ブランド、プロメモリアの家具を中心に、コーディネートされた上質な空間を体験できるようになっています。途中の階段がまた心憎い演出になっており、明るく開放的な1階から、暗い階段を上っていくと、まるで印象の違う空間が目の前にパァッと広がるのです。
「45ブランドの輸入壁紙と、トミタのオリジナル壁紙、フランスの一流ブランドであるピエール・フレィ、ミラノのプロメモリアなど、世界の最上級のインテリアを取り扱っているわけですから、ショールームは模型のようなものではなく、きちんと“本物”を表現しないとダメだと思いました。光栄なことに、各ブランドが協力を惜しまずサポートしてくれたので、みんなで作ったショールームという感じがします」
特に、吹き抜けに造りつけられたグリッドシェルフには、トミタとプロメモリアの深い信頼関係を感じさせる裏ストーリーがありました。
「プロメモリアの創業者一家、ソッツィ家で、私と世代が近く、特に親しくしているダヴィデ・ソッツィさんが、ここがまだまっさらな状態のときに来てくれまして。彼は建築家でもあるのですが、その場で30分くらいで内装のパースを描いてくれたんです。それが素晴らしくて、私のやりたかったことにぴったりだったので、その案に即決しました」

そこには「インテリアは楽しまないといけない」という富田さんの思いが込められています。
「奥行きや高さがバラバラのシェルフに、壁紙やファブリックス、家具、照明などをバラバラに飾っています。『なんであんなところに家具が乗っているんだ?』と、お客さまにも興味を持って見ていただけるんですよ。そういうふうに、お客さまがワクワクするようでないと、インテリアはダメだと思うんです」
さらに、「インテリアに正解はない」と続けます。
「シェルフにはまだまだ空いているところもありますが、そこは焦らずに。部屋のインテリアを考えるときも同じで、モデルルームのように一気に揃えると、少し生活感がないというか、プラモデルのような“作りもの”に感じてしまいます。それより、一つずつ、自分が本当に気に入ったものを足していって、いつの間にか、好きなものに囲まれていたというのが大切だと思うんです。これとこれを合わせなきゃいけないという決まりはなくて、自分が好きだったらそれが正解なんですよ。一気に揃えるのは金額的にも負担が大きいですし、一角ずつ、一窓ずつ、余裕ができたときに変えていく。そういう繰り返しがインテリアの楽しみだと思います」
「インテリアはルールにとらわれず、楽しむもの」。長い歴史を持つトミタが、日本の伝統素材や技術を大切にしながら、海外の一流ブランドとも親和性が高い、モダンなデザインのオリジナル壁紙を作れるのも、その一本芯が通った姿勢に理由があるように思います。
「よく『今年の流行は何ですか?』とか、『流行りの色は?』と聞かれますが、私たちはそういうものは気にしていないんです。かっこいいと思うものは日々変わっていきますし、その変化に対して敏感でいるようにはしていますが、今のトレンドだからと似せるようなことはしません。それは、いい仕事してるなと思う海外のブランドから学んだことです。それぞれのブランドが持つテイストやカラーをきちんと守り続けていると、自然とトレンドになっていくんですよ」
そんな富田さんの願いは、「特別な目的がなくても、ショールームへ足を運んで、インテリアを楽しんでもらいたい」というもの。
「たくさんのアイテムがあるので、何か一つ、惚れ込むものを見つけていただけたらいいですね。そこから好きな世界が広がっていく面白さを体験できると思います。パリやミラノまで行かなくても、ここなら世界の“本物”が見られますから。壁一面だけ壁紙を変えるだけでも、生活の“気”が変わることをまず知っていただいて、暮らしの中でインテリアをどんどん楽しんでいただきたいです」

あらためて、大小さまざまなグリッドシェルフを見渡してみました。ストーリーを聞いてから見ると、目に飛び込んでくるものが最初とまた違うように感じられ、眺めているだけで時間が経つのを忘れそうです。その下に並ぶトミタオリジナルの壁紙も、「あのカラフルな金箔の壁紙(七彩散らし)には、一体、どんなストーリーがあるんだろう?」と、考えるだけでワクワクしてきます。そのストーリーを知りたくなった人は、ぜひtomita TOKYOへ行って、聞いてみてください!

今回の取材に協力いただいたのは、

株式会社トミタ
tomita TOKYO

東京都中央区京橋2-2-1 京橋エドグラン1F

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Fax:03-3273-7551

営業時間: 11:00~19:00
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