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もっと自由に、もっと遊んで、自分たちの家を楽しもう

もっと自由に、もっと遊んで、自分たちの家を楽しもう

インテリアコーディネーター
久保 栄子さん

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フリーのインテリアコーディネーター、久保栄子さん。
久保さんが自宅兼事務所として使われているのは中古で購入した築50年のマンションです。「自由にリフォームしていいマンションを探していた」とおっしゃる通り、玄関のドアを開けるとあっと驚く別世界が広がっていました。自由に、素敵に暮らすことの楽しさを自分自身が実践している久保さんだからこそ、インテリアコーディネーターとしての采配に説得力が生まれるのでしょう。

  • --これまでの経歴と共に、現在のお仕事について教えてください。



    インテリアコーディネーターとしての仕事を本格的に始めたのは子育てが一段落してからです。この仕事は、生活そのものや家事、子育てを経た主婦の視点が強味になる、そんな点がとても魅力でした。
    ハウスメーカーでの勤務からスタートしたのですが、壁紙やカーテンを選ぶ作業は100件以上担当したと思います。
    その後、不動産関係に転職。新築のお客様もいらっしゃいましたが、主にリフォームをされるお客様への内装のプランニングや、「ほかはそのままで、この壁紙だけ変えたいんだ」といった細部にわたる要望など、あらゆるご希望に対してご提案を行っていました。
    フリーになった現在は、コーディネート業務をこなしながらリフォームをされるお客様に「こういう工務店がありますよ」という橋渡し役もしています。といっても、大々的に言えるような仕事量ではなく、主婦業の傍ら自分の生活を大いに楽しみながらやっています。

  • Re壁ボイス 久保栄子さん
    PROFILE
    久保 栄子さん
    Eiko Kubo

    インテリアコーディネーターであり、家族と暮らしと住まいを考える研究グループ【KIWI labo.】のメンバーとして精力的に活動中。【KIWI labo.】では、2010年に「キッズプログラム ケーキ箱のお部屋作りワークショップ」をスタート。インテリア産業協会の研究事業に採択されたほか、大阪市とのタイアップ事業、2017年には愛知淑徳大学インテリア設計科の授業でも演習として取り入れられるなどの実績があり、教育現場を中心に全国各地でワークショップを開催中。
    また、オリジナルのキット【KIWIlabo.オリジナル ケーキ箱のお部屋つくりキット】が話題を呼んでいる。

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フリーのインテリアコーディネーターとして活動中の久保さん

 

--資格もたくさんお持ちですね。

照明士、福祉住環境コーディネーターなどの資格を取得しました。私の場合、それらを柱にして仕事を得るわけではないのですが、勉強を通じて得た知識が役立ったときはどんなに些細なことでも嬉しかったですね。

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    室内にいくつもある照明器具は、すべて種類が違うという徹底したこだわりが

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--現在、いちばん注力されているのは【KIWI labo.】というグループでの活動だそうですね。



【KIWI labo.】は、家族と暮らしと住まいを考える研究グループであり、ユニットです。名称は、「Kid’s Interior, Wonderful Interior」の頭文字から取ったもの。「子どもがすくすく育つような家こそ、理想の家」という意味が込められていて、メンバーは5名。私を含めた4名のインテリアコーディネーター、1名のおもちゃコンサルタントという構成で、子育て中に知り合いました。
当時はお互いが「仕事はしたいけれど、家事や子育てがあって思うように動けない…」というジレンマを抱えていたのですが、だったら「子どもたちに向けて何かできることを探せばいいのでは? やっていこうよ!」という思いから、意気投合したのです。

  • --具体的な活動内容は。



    「ケーキ箱のお部屋つくり」というワークショップを開催しています。ケーキ箱をお部屋に見立てて、その部屋のインテリアを、紙模型などを用いて組み上げてもらうというものなのですが、紙模型だけではなく、壁紙やカーテンは実際のサンプルを使用しています。
    子どもたちはもちろん、一緒に来られた親御さんまで目をキラキラさせていらっしゃいますよ。ご自宅のインテリアの参考になるようです。

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    【KIWIlabo.】オリジナルの「ケーキ箱のお部屋つくりキット」が好評だ


--活動を通しての目標はありますか?



ありがたいことに、「ケーキ箱のお部屋つくり」はインテリア産業協会の研究事業に採択されたほか、大阪市とのタイアップ事業、2017年には愛知淑徳大学インテリア設計科の授業でも演習として取り入れられるなど、高評価をいただいています。
今後もこの活動を全国の学校・教育機関などに普及させ、子どもたちが好奇心を持ってインテリアに接する機会の創出を図りたいと思っています。

--さて、ここからは素敵なご自宅についてお聞きしていきます。築50年の中古マンションをリフォームされたとか? まず、玄関のドアを開けて驚きました。



気に入っている部分は残しつつ、「ザ・昭和」な感じの部屋から180度変わったのではないかと思います。「レトロ・モダン」をテーマにリフォームしました。
部屋のドアは、外側と内側で違うデザインになっています。これはアンティークの既成品なのですが、とても気に入りましたね。
和室の襖には、ウィリアム・モリスの壁紙を張っています。ただ、輸入壁紙だと幅が少し足りなかったので、悩んだ結果、国内で作っているものから選びました。モリスは派手な色柄のものもありますが、先にイメージしていた障子とのバランスを考え、色も柄も控えめなものをセレクト。もう一方の襖にも、柄違いでモリスの壁紙を張っています。色は同じでも、柄まで同じだとつまらないでしょう?

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    ウィリアム・モリスの壁紙を和室の襖に張っている

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    「レトロ・モダン」をテーマにリフォームされた室内

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--お手洗いの壁紙がかわいいです。



主人のセレクトなんですよ。くまちゃんが描かれているこの壁紙に出会って、「こいつがいるのがいい!」って(笑)。選ぼうと思っていた色味でしたし、お手洗いって、ほっこりしたいところですよね。私も異存なく、このかわいい感じにしてみました。しかも自分たちで張ったんですよ。

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    お手洗いの壁紙には、愛らしい「くまちゃん」がいる

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--ご主人のお部屋の壁紙は?



まだリフォーム途中なのですが、国産デニム生地を壁紙にした「デニム壁紙」にする予定です。ジーンズ好きで、ビートルズ好きな主人の好みにぴったり。どんどんインテリアを楽しんでほしいと思います。

--小物や家具も素敵ですね。



展示会でいただいた“モリス風”の壁紙のサンプルをフレームに入れて飾っています。最近は、壁紙をこのように使う方法も増えてきたように思います。 壁紙をアートとして取り入れると、いいアクセントになりますし、楽しいですよね。


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“モリス風”の壁紙をフレームに入れてアクセントに


--では最後に、インテリア業界や壁紙について忌憚のないご意見を聞かせてください。



業界というより、日本人はインテリアについての意識が低いように感じます。たとえば、内装材(壁材、床材、天井材)は部屋の中で大きな面積を占めるため、部屋の雰囲気を大きく変えることができるんですが、おうちを建てたほとんどの方が白い壁紙を選ばれているのではないでしょうか? 壁紙って実はいちばん遊べて、いちばん着手しやすいんですよ。「もっと自由に、自分たちの家を楽しもうよ」と、声を大にして言いたいです。
もちろん、我々の発信不足も否めません。私はインテリアコーディネーターとして、また【KIWI labo.】の活動を通じて、子どもたちへインテリアの啓蒙を続けていきたいと思います。

  • 今回おじゃましたのは...




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  • File No.27 2022.01.24 UP
  • CHIC INTERIOR PLANNING 主宰 インテリアコーディネーター 荒井 詩万さん
    壁紙で部屋の空気感もグッと変わる。もっと壁紙を楽しむことをして欲しい。
    インテリアコーディネーターとして約20年のキャリアを持つ荒井詩万さん。戸建て住宅やマンションのインテリアコーディネート、リノベーションを手掛けています。
    その荒井さんは著書『今あるもので「あか抜けた」部屋になる。』(サンクチュアリ出版)を出版。初心者でも素敵な住まいを演出できる、さまざまなノウハウを紹介しています。

  • File No.24 2020.07.06 UP
  • 株式会社 森熊 代表取締役社長 大塚紳哉さん
    ユーザーの個性、アイデンティティを探求する世界の壁紙が、建築業界をアップデート
    壁紙をはじめとする内装材卸会社としては、四国最大手の株式会社 森熊。
    輸入壁紙を中心とした専門店「WALLPAPERHOUSE」を四国各県に展開し、注目を集めています。WALLPAPERHOUSEでは、ホームテキスタイルの世界最大級の見本市・ハイムテキスタイルをテーマとしたセミナーを開催。
    セミナーを通して訴えたいことは何なのか、熱い思いを語っていただきました。

  • File No.23 2020.01.31 UP
  • 風水クリエーター×一級建築士 天野千恵里(あまのちえり)さん
    環境が変われば人生が変わる。運を変えたい人が住むべき、本当によい家とは。
    大学では英米語学を専攻。卒業後はハウスメーカーに勤務する傍ら、インテリアコーディネーターや宅地建物取引士、さらに2級建築士、1級建築士の資格を取得。また、家相、環境学、風水について学び、3年前に独立。風水空間クリエーターとして多数の住宅や店舗の設計、アドバイスをする一方、講演やセミナーの講師としても活躍中。

  • Re壁ボイス 補正下着専門店 Chabi 原知佳さん
  • File No.21 2019.05.30 UP
  • 育乳ブラ&補正下着専門店 Chabi株式会社 ランジェリーデザイナー 原知佳さん
    いつもいつまでも美しく。女性の願いを叶える夢の空間。
    自らも補正下着によって美ボディを手に入れたというランジェリーデザイナーの原知佳さんに魅力ある商品づくり、またインテリアデザイナーの知識や経験を生かしたお店づくりについても語っていただきました。

  • Re壁ボイス ふすまっくす 松岡 健一さん
  • File No.19 2019.05.21 UP
  • 松岡表具店代表 1級表具技能士 松岡 健一さん
    日本の伝統と現代性をあわせた新しい楽しみ方を。
    伝統と現代性をあわせた表具・表装の新しい楽しみ方を、創業40年以上にわたって表具屋を営む松岡表具店の代表 松岡健一さんにおうかがいしました。

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