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日本の伝統と現代性をあわせた新しい楽しみ方を。

日本の伝統と現代性をあわせた新しい楽しみ方を。

ふすまっくす 松岡表具店
代表
松岡 健一さん

Re壁ボイス ふすまっくす 松岡 健一さん

Re壁ボイス フスマックス 松岡さん

「代替わりして少しインパクトがほしいなと、“ふすまっくす”というネーミングを付けました」と話す松岡さん。

日本に古くから伝わってきた襖や掛け軸、屏風。
内装に壁紙が使われることが主流となり、生活が洋式に変化するずっと前から、それらの表具・表装は日本人の生活に密着してきました。
現代の生活において、伝統的な表具・表装はどのように根付いているのでしょう。また、和のよさはどのように現代の壁紙に生きているのでしょう。
創業40年以上にわたって表具屋を営む松岡表具店の代表 松岡健一さんにお話をうかがいました。

  • --主に襖の張替えなどをされているのでしょうか?

    そうですね。メインは襖や障子の張替え、新調です。
    大阪北部はまだ古い団地や、戸建でも和室が残っている方で、張替えの方が多いです。 いわゆる表装、掛け軸や屏風、額なども、古くなったものを仕立て直したり、新しく仕立てています。

    父親の時代は毎日襖の張替えがありましたけど、だんだんそうではなくなるだろうと思っていたので、壁紙や建具も扱っています。周囲から教われる環境にあったのでよかったなと。

  • Re壁ボイス フスマックス 松岡さん
    PROFILE
    松岡 健一 さん
    Kenichi Matsuoka

    先代である父親が1976年に松岡表具店を創業。
    健一さんは10代から勤務し、併行して職業訓練校で表装の仕立てや修繕を習得。
    現在は健一さん、弟の康夫さんの2名で、襖や障子、掛け軸、屏風などの表具を中心に、壁紙、建具の修繕、新調なども手がける。

  • Re壁ボイス フスマックス 松岡さん

    「和紙は湿気の調節もしてくれるんですよ」と松岡さん。

  • --壁紙はどのようなものがありますか?

    ビニルクロスや、和紙壁の張替えもあります。
    最近は新築で一部屋のみだったり、天井だけ和紙を張りたいといった要望があり、壁紙屋さんでは難しいこともあって、うちに依頼されます。 コストもかかるので大きく使うのは難しくても、こだわりのあるお客様が和紙の風合いを好んで一部に使われる傾向にありますね。
    それから金箔・銀箔の和紙張りも行っています。

--金箔・銀箔の和紙はどのようなところで使われますか?

寺院のような歴史ある建物に使われることが多いですが、個人の住宅で使う方もいます。
扱いが非常にデリケートで、指で触れると跡が汚れのようになってしまうので、住宅の場合は壁よりも天井などに使われますね。

最近の例では、2018年の大阪府北部地震で破れてしまった寺院の金箔の張替えを行いました。

  • Re壁ボイス 松岡表具店 松岡さん

    下張り用の和紙を張るウケ掛けという作業。

  • Re壁ボイス 松岡表具店

    天井に銀箔を張った直後。

  • Re壁ボイス 松岡表具店

    銀箔は照明にも映える。

 

--和紙を壁に張るとなると、一般的な壁紙とは何が違うのでしょうか。

下張りをするかしないかが一番の違いだと思います。 和紙を小さく切って、四方に糊付けする下張りを1、2回していきます。その上に和紙を張っていくので、和紙自体は浮いていて、全体的に中に空気が入っている状態なんです。
張るときには少したるみを持たせて、糊が乾くとピーンと綺麗な仕上がりになります。
その下張りの作業が壁紙業者ではできないことがあるので、大阪府内でも少し離れた地域のお客様が紹介やウェブで探されて、うちに辿り着くことがあります。

 

--お客様からはどのような要望がありますか?

お客様自身で調べて、「この和紙を使ってほしい」と言われる方もいます。
それから、大きい機械漉きの和紙もあれば、手漉きの和紙では60×90cm程度のものを継いでいきます。壁紙のように継ぎ目を重ねずにぴったり合わせる張り方はできないので、一般的には9mm程度重ねて張っていくんです。その重ね目を15mmにしてほしい、5mmにしてほしい、といった要望もあります。重ね目を強調して見せたいかどうかですね。

そういうケースは、設計士さんに頼んで住宅を建てるお客様が多いです。今はインターネットでも見られますし、テレビで日本の伝統工芸が特集されたりと、エンドユーザーの方が知識を得ている点が変わってきているかもしれないですね。

  • --壁紙と襖紙は元を辿れば同じなのでしょうか。

    襖紙の幅は大体90cm以内で、国産の壁紙も幅は約90cmですから、元々は同じだと思います。
    壁紙も初めはビニルクロスではなくて布だったんですよね。最初は表具屋が始めて、だんだん専業化していって表具屋、壁紙屋と分かれるようになり、うちのようにどちらも扱うところは少なくなっていると思います。

    --和室をリフォームすることも多いと思うのですが、壁紙の使われ方に変化はありますか?

    よく見られるのは、和室を洋間にリフォームするケース。そして襖に回りの壁と同じ壁紙を張ったり、壁とは全く違った色の壁紙を張ることも増えてきています。

  • Re壁ボイス フスマックス 松岡さん

    自宅でも色々な襖紙を試しているという。

  • Re壁ボイス フスマックス

    洋間にリフォームし、襖を張替え。

  • Re壁ボイス フスマックス

    和室の襖を手漉きの越前和紙に張替え。

--部屋の印象がガラッと変わりそうですね。

新築マンションの入居前リフォームなんかでは、和室のまま、輸入壁紙を襖に張ってほしいという要望もあります。
壁には無地の壁紙を使い、襖は2、3枚なので部屋のアクセントとして、緑の市松だったり、真っ赤な和紙だったり、柄ものの輸入壁紙などを張ってほしいというお話は時々ありますね。

--デザインもされるんですか?

この部屋の襖紙は私がデザインした試作品で、高槻市鵜殿に自生するヨシ(葦)から作られたヨシ紙のものです。普通は中の骨を見せることはありえませんが、こういうアイデアも必要かなと。

表具・表装は和室でしか使われないと需要が限られてきます。そのため大阪府表具内装協同組合や仲間の表具師グループで伝統にとらわれない作品づくりをして、一般公開の展覧会を開催しているんです。
イラストレーターや版画家、写真家の方など、できるだけ異業種の方とコラボレーションしています。どんどん新しい感覚を取り入れていくことは大切ですから。

  • Re壁ボイス フスマックス 松岡さん

    松岡さんがデザインした桜柄の襖。福井県にある越前和紙の会社が作ったヨシ紙を使っている。

  • Re壁ボイス フスマックス

    (左)透かしの部分は下張りをせず、照明に使われる不織布で裏打ちしている。
    (右)高槻のヨシから作られたレターセットや箸も販売。

--表具師から見た壁紙の未来について、どう思われますか?

私からすると、和紙壁が増えていってほしいですね。
誰しもが、というわけにはいかないと思いますが、こだわりのある家づくりやリフォームを考える人には喜んでもらえるものですし、見えていないところにまだまだ需要はあると思っています。お客様側も私たちのような職人を見つけにくい面もあると思うので、色々な仕掛けをしてもっとPRしていかないといけないと感じますね。

和のよさはずっと求められていくと思いますし、今後さらに和と洋が融合していくと、もっと面白い和紙壁の使われ方が出てきたり、モダンなデザインも生まれてくるのではないでしょうか。

  • Re壁ボイス フスマックス

    北大阪のグループでの展覧会の作品。

  • Re壁ボイス フスマックス

    (左)イラストレーターとコラボレーションした表具内装工藝展での作品。
    (右)着物の布を使った掛け軸。

  • --もっと色々な選択肢が増えていきそうですね。

    そうですね。リフォームでも新築でも、最初の段階から入らせてもらうような仕事もしてみたいです。
    こんな和紙の素材があるとか、こういう場所に使ってみてはどうかとか、私たちなりの提案ができますから。どの業種にも当てはまると思いますが、もし職人さんが初めから参画したら、こだわったいい家ができると思いますよ。

  • Re壁ボイス フスマックス 松岡さん

    工務店からの依頼が多いが、ホームページなどを見て来る個人客もいるそう。

  • Re壁ボイス ふすまっくす

  • 今回おじゃましたのは...

    伝統と現代性をあわせた新しい表具・表装
    ふすまっくす 松岡表具店

    ACCESS
    〒569-0825 大阪府高槻市栄町4-16-1
    TEL:072-693-2326
    FAX:072-693-6349

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