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File #14

民泊のリノベーション技「壁紙は最後のお化粧」

民泊のリノベーション技「壁紙は最後のお化粧」

二級建築士/インテリアコーディネーター
鈴木 恵里花さん

Re壁ボイス 体験型民泊CYCLESTAY 鈴木さん

Re壁ボイス 体験型民泊CYCLESTAY 三枝さん 鈴木さん

FURUEL株式会社 建設事業部 三枝広章さん  二級建築士/インテリアコーディネーター 鈴木恵里花さん

大阪・京橋は大阪屈指のターミナルであり、キタやミナミはもちろん、郊外へのアクセスも便利な場所だ。駅周辺の活気あふれるエリアを抜けると、昔ながらの古民家が数多く立ち並び、タイムスリップしたような錯覚に陥る。訪日外国人にとっては、その「THE 日本」的な風景が魅力的に映ることだろう。

2019年2月、同地で一軒家をリノベーションして誕生したのが、宿泊+自転車がコンセプトの体験型民泊施設『CYCLESTAY』だ。内装には自転車や日本の伝統的な要素を取り入れ、和モダンが感じられる空間を提供している。同施設を手がけたFURUEL(株)の三枝広章さんと鈴木恵里花さんにお話を伺った。

  • --担当している事業について教えてください。



    三枝:FURUELが手がけているのは、仲介をメインとする不動産事業と民泊の企画などを行う建設事業で、僕と鈴木は建設事業部に所属し、体験型民泊施設の運営・コンサルティング、民泊転用工事の設計施工を担当しています。

    2018年6月、いわゆる民泊新法(住宅宿泊業法)が施行されました。これにより、主に個人が違法運営していた民泊が一掃され、代わって法人の参画が激増。

    弊社も 2018年6月より民泊事業に参入しましたが、民泊業界はまだできたばかり。今のところ競合や大手が存在しないので、可能性は大きいと見ています。

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    INFORMATION
    FURUEL株式会社 

    社名は「震えるほどいいサービスを提供する」をテーマとしていることに由来。
    手がけてい るのは不動産事業(プライム不動産)、建設事業、民泊事業、REMODELA 事業(内装工事 のクラウド化ベンチャー事業)で、関西を拠点に不動産&建設業のプロフェッショナルとし て活動中。
    企業理念は「ココロオドル人をつくる」。

Re壁ボイス 体験型民泊CYCLESTAY 三枝さん 鈴木さん

--お客様が持っている物件を改修して民泊にするのでしょうか?



鈴木:主に3つのケースがあります。1つめは「(お客様が)保有している物件を民泊にしたい」というケース、2つめは「(お客様が)民泊運営を始めたいので、物件を探すところからお願いしたい」というケース、そして 3つめが「弊社で物件探しから改修・運営までを行う」ケースです。
弊社が企画をする上でのポイントは、単なる宿泊施設としてではなく「宿泊+体験」できる民泊施設であること。そこで、弊社が運営する第一号の民泊として企画したのが、自転車(クロスバイク)でサイクリングを楽しめる体験型民泊です。

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    半分はキッチンだった土間空間。改修後、自転車を5台置ける広さに生まれ変わった。

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--なぜ民泊+自転車なのでしょう?



三枝:訪日外国人は、宿泊に加えてレンタサイクルを利用する割合が高いのです。そこで、宿泊とレンタサイクルをくっつけたら楽しいのでは?――という発想が生まれました。

『CYCLESTAY』は5名様まで宿泊できるので、5台のクロスバイクとヘルメットを用意しています。さらに、メンテナンス用品や使用方法の説明書き、オリジナルのサイクリングマップなども完備。最寄りは大阪の京橋駅なので、大阪城公園や花博記念公園鶴見緑地などの付近から、大阪各所の観光スポットまで気軽に行くことができますよ。

ちなみに、民泊はアジア系のお客様が多いイメージですが、『CYCLESTAY』には欧米人の お客様が多いですね。もちろん、大阪観光に来られた日本人の方もいらっしゃいます。 自転車があれば、細かい路地が密集している京橋の街も楽しめますからね。
ぜひ、いつもとは違うディープなスポットも堪能していただければと思います。

鈴木:ちなみに、説明書きやサイクリングマップを作ったのはインターン生なんですよ。マップに書きたいことが多すぎて収まらない……というハプニングがあったのですが、そこから生まれたアイディアが、マップにQRコードを付けるというもの。結果的には、お客様が盛りだくさんの情報を得られるようになったのです。

彼らのアイディアに感心しましたね。弊社のインターン生は、チームを組んで企画から営業、デザイン、広報と、 とにかく一通りやってもらいます。もちろん私がインテリアと設計の責任者、三枝が現場監督として最終完成に持っていくのですが、任せる部分が大きいので、とてもやりがいを感じられるのではないでしょうか。

Re壁ボイス 体験型民泊CYCLESTAY

サイクリングマップはインターン生が作成


--では、『CYCLESTAY』の内装について教えてください。壁紙がとてもユニークですね。



鈴木:民泊だからこそ、日本のよさを内装で表現したかった。それには壁紙が最適なのです。 カタログ見て「これだ!」と思ったのがリリカラさんの壁紙でした。
1F の壁紙は『三角のリズム』(全3色)という商品名で、この色を選んだのは、私が静岡出身だからかもしれません。色や三角の部分が富士山っぽく見えませんか?
宿泊先の部屋に “マウント・フジ”をイメージできる壁紙があったら、外国人の方に喜んでもらえるのではな いかと思ったのです。また、ぱっと見て目を引くものにしたいと思っていたので、まさにイメージ通りでした。

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1F の壁紙は、富士山にも見える個性的な柄がインパクト大!

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    2Fの壁紙は、ユニークながら温かみのあるデザインだ

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--鈴木さんからこの壁紙を提案されたときの、三枝さんのご感想は?



三枝:よく見つけてきたな、と(笑)。最初は派手すぎると思ったのですが、明るさとインパクトを兼ね備えているので、実は民泊にぴったりでしたね。手前味噌ですが、鈴木のセンスは素晴らしいと感心しました。

鈴木:ありがとうございます(笑)。

三枝:ただ、この柄の壁紙を貼るのには熟練の技術が必要。少しでもズレると絵柄がおかしくなってしまうので、かなりクロス屋さん泣かせだったようです。

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    2Fはベッドがあるスペースと、布団を敷くスペースがブラインドで仕切られている。

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--お客様から壁紙についての感想などはありますか。



鈴木:まだスタートしたばかりなので、ピンポイントで拾った意見はありませんが、好意的なご意見が多いと嬉しいですね。
宿泊施設を選ぶ際、立地や金額だけではなく、内装の写真を見て決めることも多いでしょう。 そういった意味でも、部屋の大部分を占めて印象を左右する壁紙は重要だと思っています。

Re壁ボイス 体験型民泊CYCLESTAY 鈴木さん

三枝:僕の前職は塗装の職人です。クロスとは正反対の立場だったので、以前は「壁紙より塗装のほうがいい。味がある」と思っていました。
しかし、現職に就いてからは「お互いにいいところがあるから共存していこうよ」という考え方に変わりました。
今では現場監督として、壁紙が果たす役割の大きさを実感しています。壁紙を貼るとイメージがガラリと変わって、一気に完成が見えてくるのです。
つまり、内装全体の評価は壁紙が握っているのです。僕は、壁紙は「最後のお化粧」だと思っています。

Re壁ボイス 体験型民泊CYCLESTAY 三枝さん

--最後に、今後の事業展開について教えてください。



三枝:民泊事業は、建て替えが困難な空き家をリノベーションして活用することで、空き家問題解決にも貢献するものです。
例えば当施設の建物の元になったのは、築年数不詳の中古不動産でした。このように、大阪市内には数多くの古家や空き家が、有効利用されないまま存在します。
今後もユニークな民泊施設などをつくることで、空き家問題に寄与できればと思っています。今後もまずは、和食文化を体験できる施設、癒やしをテーマにした施設、日本酒を楽しむことができる施設と続々オープンする予定ですので、どうぞお楽しみに!

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  • 今回おじゃましたのは...

    震えるほどいいサービスを提供する
    体験型民泊『CYCLESTAY』

    ACCESS
    大阪市都島区都島中通 3 丁目 1-15
    TEL:06-6766-4210

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