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File #07

日本の伝統と美意識が世界の空間を変えていく。

日本の伝統と美意識が世界の空間を変えていく。

株式会社 加地織物 KYOGO
インテリア事業部部長
秦 直也さん

Re壁ボイス KYOGO 秦さん

Re壁ボイス KYOGO

海外で圧倒的人気を博した「Miwaku 001」。

京都を代表する伝統工芸品であり、全国にその名を知られた高級織物「西陣織」。
西陣織と聞くと、着物の帯を思い浮かべた方も多いかもしれません。美しくきらびやかな織りの帯は京友禅の着物とあわせて女性たちの憧れでもありました。

そして今、西陣織は和装に限らず様々な製品となって、国内はもとより海外からも注目を集めているのをご存知でしょうか。
そのひとつが、今回ご紹介する西陣織のインテリアファブリック。業界のパイオニアでもある株式会社 加地織物「KYOGO」のインテリア事業部部長 秦 直也さんにこれまでの経緯や製品への思い、今後の展望などについて伺いました。

  • --まず御社について教えてください。

    加地織物は150年以上前に創業した西陣織のメーカーで、戦後は僧侶の袈裟をはじめ寺社関連の製品を作っていました。
    そこで培った西陣織の伝統技法を生かせる新しい商品を展開できないか、と弊社の代表の発案で立ち上げた事業がインテリアファブリックのブランド「KYOGO」です。

    --インテリアファブリックの製作に乗り出したきっかけがあったのでしょうか?

    ご存知のように、西陣織は京都を、いえ日本を代表する伝統工芸の一つです。その古き良き伝統は確実に引き継いでいかなければなりません。
    ですが、ずっと同じことをしているだけでは業績は伸びませんし、産業としての発展も見込めません。そこで、既存の市場は大切にしつつ、若い世代にも受け入れられるかっこいいものを作ろうじゃないか、と。

    私たちは西陣織メーカーの中では珍しく、代表をはじめ30代を中心とした若い社員が多い会社です。伝統の技術で新しいものを作り出すことが若い社員のモチベーションを上げるのではないか、そのような思いもありました。

  • Re壁ボイス KYOGO
    INFORMATION
    KYOGO
    150年以上前に創業し、伝統建築の装飾品を手掛けてきた西陣織メーカーが、西陣織の可能性を広げるべく立ち上げたブランド。
    金糸銀糸を用いて緻密に計算されて織られた織物は、光を浴びて輝き様々な表情を見せ、空間を上品に彩ります。

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--KYOGOを代表するのが西陣織の壁紙ですが、特長を教えてください。

西陣織では金糸や銀糸、箔糸などを使うことが多いのですが、そうしたきらびやかな糸の扱いには自信がありました。
それと、光の当たり方や見る角度によって模様が浮かび上がったり、逆に消えたり、そうした見え方の変わる織物を意図的に織り上げる技術もKYOGOならではのものと自負しています。

たとえば、蓮の花をモチーフにした「IBUKI 006」。これは、一見すると一輪の咲いている蓮に見えますが、角度を変えて見ることで枯れた蓮が浮かび上がって見えてきます。先染め織物の技術が駆使されており、空間に奥行き感が出ると同時に部屋全体の印象もかなり違ったものになるのではないでしょうか。

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    一見すると一輪の蓮の花が咲いている図柄。

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    角度を変えることで枯れた蓮が浮かび上がって見える。

 

--150年以上の歴史に裏打ちされた、素晴らしい技術ですね。

僕らが作っているものは、大量生産品と違ってどうしても高価なものになってしまいます。ですので、ラグジュアリー・マーケットと呼ばれるホテルや高級レストラン、バーなどに納品することが多くなります。
金糸を使うにしても単なる派手さではなく、いかに空間を上品に美しく見せるか、その点を常に意識していますね。
時には「もっと派手にならないか」と注文される場合もあるのですが、私たちはあくまでも日本らしい金の使い方、品の良さや奥ゆかしさを大切にした本物ならではの高級感を提供したいと考えています。

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    光を浴びて闇夜に幻想的に浮かび上がる夜桜。

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    角度によって伝統的な麻の葉文様が浮かび上がる。

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    金の箔糸を用いて重なり合う4層を表現した。

 

--近年は海外の展示会で製品を紹介する機会も多いとか。

ヨーロッパ、中でもフランス・パリに行くことが多いですね。日本通の方の中にはすでに西陣織をご存知の方もいらっしゃいます。
でも、西陣織は着物の素材という既成概念があるようで、うちの製品を見て開口一番「西陣織が壁紙になるのか!?」と驚かれます。それと同時に、質の良さや美しさに感動される方も多いですね。

--海外で好評だった製品はありますか?

この「Miwaku 001」が圧倒的に人気があります。伝統的な和柄も良いのですが、現代の生活空間を考えた時にしっくりなじむのは和モダンなデザインだと思います。
ですので、和の技術を駆使しながら洋の意匠を表現することを目指しています。

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--お客様の反応を見て、秦さんからアイディアを出されることもあるのでしょうか?

どんな製品であっても、ものづくりで大切なのは時代の流れやお客様のニーズをつかむことです。展示会などで直接お客様とやりとりする中でそうしたことをダイレクトに感じて、デザイナーや織り手に伝えるのも自分の重要な使命だと思っています。
ただ、お客様のニーズに迎合しすぎてありきたりのものになってしまわないように、マーケティングを意識しつつも、KYOGOならではの独創性も加味してひとつひとつ完成させるようにしています。

--デザイナーさん、織り手さん、プロデューサーである秦さん、三者で作り上げていくんですね。

私からの提案、デザイナーの視点、織り手の考え。それぞれの立場で話し合うからこそ、より良いものができる場合も多い。時にはデザインだけで1~2ヶ月かかる場合もあります。
さらにそのデザインをもとに織り方を決めるんですが、それも何万通りとあるので決定するまでに数カ月。製品によっては完成までに1年近くかかったものもありました。

--ひとつの製品を世に送り出すまでには、大変なご苦労があるのですね。

壁紙に限らず、うちが徹底しているのは“美しさに関しては絶対に妥協しない”ということ。 便利さや機能性、価格の安さなどは他社さんにかなわなくても、織物として美しいと認められるものを自信を持って提供していきたいと思っています。そのための試行錯誤ならいといません。

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オーダーメイドやカタログ誌掲載商品のリサイズなど、顧客のニーズに細やかに対応している。


--ところで、秦さんご自身はなぜこちらに入社を?

僕はもともと東京のIT企業に勤めていたんですが、結婚した相手が加地織物の代表の妹でした(笑)。義兄から一緒に新しいことを始めないかと声をかけられたんです。
京都という土地には大変興味がありましたし、ちょうどITの技術を使って何か別のことはできないかと考えていた時期だったので、思い切ってこちらに来ました。

  • --全く違う業界で、不安はありませんでしたか?

    確かに、京都も織物のこともそれまでは全く知りませんでした。
    でも、百年以上の歴史を持つ企業で新しい事業に関われるチャンスなんて滅多にないこと。即座に「やってみたい!」と思いました。
    それに、ITのスピード感はこういう伝統工芸の仕事にも生かせるんじゃないかと。不安より期待の方が大きかったですね。

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--では、今後の展望についてお聞かせください。

何よりもまず、西陣織の壁紙を含めたインテリア製品をもっと多くの方に知ってもらいたいと思います。認知度が上がれば建築やリフォームでの壁紙としての選択肢に加わるのではないかと考えています。
最近はホテルやレストランのほか、ジュエリーショップや時計店などからの問い合わせも増えてきました。これからは一般住宅でも使ってもらえるようになったら、と思いますね。
壁の一面だけアクセント的に西陣織を使えば決して派手ではありませんし、さりげない高級感も演出できます。一般向けには、壁紙のほかアート風のパネルやクッションカバー、ソファなどもおすすめです。


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--国内だけでなく海外でも新たなチャレンジを?

今はヨーロッパがメインですが、これからは中東も視野に入れて展開していきたいと考えているところです。
アラブ首長国連邦、クウェート、サウジアラビアなどの中東の国々はラグジュアリー・マーケットとして魅力があります。
高級ホテルでまだ日本のものを使っているところは無いようなので、ぜひ西陣織の壁紙に注目してもらえればと。 これから積極的にチャレンジしていきたいですね。

  • Re壁ボイス KYOGO

  • 今回おじゃましたのは...

    海外からも注目を集める西陣織のインテリアファブリック
    株式会社 加地織物 KYOGO

    ACCESS
    〒602-0047 京都市上京区近衛殿表町173
    Tel:075-414-9502
    Mail:contact@kyo-go.com

    社内には西陣織インテリアファブリックのサンプルを展示したショールームも。
    事前に予約すれば無料で見学することができ、実際に見て、触れて、美しさを体感できる。

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