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File #17

壁紙はインテリアではなく、
建築。

壁紙はインテリアではなく、
建築。

おうちソムリエ 一級建築士事務所
代表
松元 幸樹さん

Re壁ボイス おうちソムリエ 松元さん

Re壁ボイス おうちソムリエ 松元さん

一級建築士と宅地建物取引士の資格を持つ代表の松元幸樹さん。

住宅を建てたり、マンションをリノベーションするとき、「この部屋はどんな壁紙にしよう?」と考えるのは、多くが設計して形ができてから。
そんな中、壁紙によって設計を変えていく、という設計事務所があります。お客様のイメージやセンスをよく聞いて、住まいの外側だけでなく空間づくりから考えると話す、おうちソムリエ 一級建築事務所の代表 松元幸樹さん。

そんな松元さんに、設計士としての壁紙との付き合い方についてお話をうかがいました。

  • --「おうちソムリエ」のお仕事内容を教えてください。

    新築住宅の設計をメインに、マンションのフルリノベーションなども行っています。リノベーションの場合は設計から施工まで、一切がっさい手がけています。

    独立以前は色々な建築関連の仕事を経験してきました。大学卒業後は設計事務所で6、7年勉強し、民間の建築検査機関へ。その後は建築とは関係ありませんが、ショットバーでバーテンダーをしていたこともあります。

    そこから中堅のデベロッパーで団地開発と住宅設計、リフォーム部署の立ち上げにも携わり、リフォーム事業を取りまとめていました。その次には不動産会社の建築部署の責任者として利益管理など行い、建築の仕事を一通りしたところで、そろそろ独立してもいいかなと開業したんです。
    今は自分一人が営業マンであり、業務の全てを行うので、これまでの経験が生かされてますね。

  • Re壁ボイス おうちソムリエ 松元さん
    PROFILE
    松元 幸樹 さん

    Koki Matsumoto


    九州共立大学建築学科卒業後、設計事務所や建築確認検査機関に勤務。
    その後、中堅デベロッパーでのリフォーム事業、不動産会社の建築事業に携わり、2015年に独立。
    おうちソムリエ一級建築士事務所の代表として、新築住宅の設計やマンションのリノベーションを手がける。

  • Re壁ボイス おうちソムリエ

    大阪・天満橋にある事務所。

  • Re壁ボイス おうちソムリエ

    隣にある奥様が営業する定食屋「ぽんぽこ食堂」でも輸入壁紙で空間を演出

--お仕事の中でどのように壁紙を使っていますか?


独立する前年に輸入壁紙の施工を手がけるWALLSさんと出会ったことがきっかけで、輸入壁紙について知り、面白いなと思いました。そこから建築に壁紙を取り入れるようになりましたね。

一般的に設計士は“箱”を作るのが仕事です。
作った箱の中にインテリア業界の方がインテリアを作るというのがごく普通の流れですが、それを逆にしてもいいかな、と。

壁紙というと、日本中の99.99%の人がインテリアと捉えると思うのですが、私の中で壁紙はインテリアではなく、建築なんです。
先に壁紙ありきで、その壁紙に合わせて建築の寸法を変えていく。だから壁紙も建築という考え方です。

--具体的にはどんな風に壁紙を使うのでしょうか。

例えばお客様のイメージに合わせて先に引き戸に使う壁紙を決め、その輸入壁紙の柄に合わせて建具の高さを調整したりします。
壁紙の柄のサイズを厳密に測って、その割付に合わせた建具を作り、寸分の狂いもなく職人さんに壁紙を張ってもらいます。
壁紙は張ると伸び縮みしますが、1mmズレてもアウトという状態なので、職人さんからするとほとんど嫌がらせですね(笑)。

でもきっちり割付けて張ると、見た目に美しいだけでなく、コストダウンにもなるんです。輸入壁紙はコストがかかってしまいますから。
キッチンに輸入壁紙を張ってみたり、毎回色々な壁紙の使い方を考えています。床色なども壁紙に合わせて考えていきますね。

  • Re壁ボイス おうちソムリエ

    キッチンに輸入壁紙を張るという使い方。
    水が飛ぶためクリア塗装を施している。

  • Re壁ボイス おうちソムリエ

    扉と壁の一面に壁紙を張りアンティーク風に。

  • Re壁ボイス おうちソムリエ

    小引き出し柄の輸入壁紙を引き戸に。
    柄がぴったり収まる高さに計算している。

--設計の中での壁紙の重要度はかなり高いですね。



部屋に入って、人の目に最初に入ってくる情報は床でも天井でもなく、壁面です。
照明設計では、基本的に照明を壁面に当てるのがよしとされますが、それは壁が暗いとその空間が暗いと脳が感じてしまうからなんです。壁面を明るくすると、明るい空間という印象になります。
最初に入ってくる情報として、壁紙はとても大事なんです。



--輸入壁紙を使うことが多いですか?



輸入壁紙も国内のメーカー品も使用します。白だけの壁にはしたくないので、お客様の要望に応じて、塗装と壁紙を色々と組み合わせて使っています。

ペーパークロスという、塗装の下地として使う壁紙のまま仕上げることだってあります。
本来はそのままで終わり、というものではないのですが、例えば子供部屋に張って落書きを好き放題できるようにし、落書きをしない年齢になったら上から塗装する、といった2段活用ができるんです。それぞれの素材をどう生かすかを考えながら使っています。

  • Re壁ボイス おうちソムリエ 松元さん

    事務所のぱっと目に飛び込んでくる壁も輸入壁紙を張ったもの。

  • Re壁ボイス おうちソムリエ 松元さん

    他の部分の壁や天井の塗装も壁紙に合わせて色を選んでいる。

--お客様の傾向としては、壁紙の自由度は高まってきていますか?


最近は、お客様自身がInstagramやPinterestなどのSNSから好みの壁紙を見つけて、持って来られることも増えています。壁紙を張るというよりも、壁紙でも塗装でも壁にどう色を付けるか、という感覚は高まってきていると思います。

それでも日本ではまだまだ壁紙といえば白、というのが当たり前だと思っている人の方が多いです。白しか知らない人たちにも、もっと色々なことができることが広まって、日本人の感覚が変わっていくといいなと思いますね。



Re壁ボイス おうちソムリエ

ガレージ風にしてほしいというお客様のリクエストで、シャッター柄の輸入壁紙を張った引き戸。壁紙に合わせて床もエイジング塗装した。



--壁紙の未来について、設計士の視点からどう思われますか?



建築側に引き寄せた壁紙の使い方をしていくには、設計士も職人さんもお互いにスキルアップが必要です。ただ壁に綺麗に張るスキルを上げるのではなく、建築と融合した発想の部分が大切ですね。

職人さんから「この壁紙をこんな風に張ったら面白いんじゃない?」と言われたら、それをどう次の設計に使おうか考えますし、そうやって職人さんと設計士がお互いを高め合っていけたらいいと思っています。

  • Re壁ボイス おうちソムリエ

    壁紙の柄をグルッと一周して連続させた扉。張るのにも高度な技術が必要だそう。

  • Re壁ボイス おうちソムリエ

    余る計算だった分の壁紙を生かして空間のアクセントに。

--周囲との協力も大切ですね。



日頃から思っているのは、他業界とのコラボレーションをあまり見かけないので、もっと建築業界や壁紙業界、インテリア業界が一緒になってよいものを作ろうという動きが出てきてほしいです。

お互いにタッグを組んで色々な提案をしていったら、もっと新しい試みができて、業界全体がよりよくなっていくのではないでしょうか。



  • Re壁ボイス おうちソムリエ 松元さん

  • 今回おじゃましたのは...

    壁紙によって設計を変えていく、という設計事務所
    おうちソムリエ 一級建築士事務所

    ACCESS
    〒540-0034 大阪市中央区島町2-1-1 クローバーハイツ天満橋1階
    TEL:06-6314-6873
    FAX:050-1011-4991
    MAIL:matsumoto@ouchi-sommelier.com

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